残業手当の支給義務がない管理監督者の条件とは? 2007/5/15

【質問】 労働基準監督署から、一部の管理職社員について「適用除外の管理監督者に該当しない」ので時間管理をし時間外手当を支払うよう話がありました。
 時間外手当を支払う義務が発生しない管理監督者とは、どのような管理職の条件が必要ですか?できるだけ詳細な条件を教えてほしいのですが。

 

【回答】労働基準法その他関連法には「管理監督者の明確な定義」はありません。
 私なりにわかりやすく?まとめると、
@どちらかと言えば、経営者の立場で考えて仕事をしている。
 ⇒労働者:夜の居酒屋で会社の愚痴をこぼす
 ⇒管理監督者:夜の居酒屋で会社の将来を危惧し部下を励ます
A部下を持っている社員、または部下を持っていなくても部下を持つ社員と同格である社員。
 ⇒労働者:労務管理をされる
 ⇒管理監督者:労務管理をしている、または労務管理をされてない社員で部下を持てば労務管理ができる
B労働時間や休日を意識して仕事をしていない社員。
 ⇒労働者:残業はつらいもの、休日は絶対休むもの、と考える
 ⇒管理監督者:何かあれば休日も仕事をする覚悟はできている。常に部下の残業を減らしたい、休日に出なくてもいいように業務を円滑に遂行する、など組織の運営を考えている。
C出社時刻、退社時刻などの時間管理をされてない社員。
 ⇒労働者:遅刻すれば理由を問われる、残業も許可制
 ⇒管理監督者:通常は余裕をもって出社し、帰りは状況によりさまざま。遅刻、早退を見張る立場なので、時間管理されなくても、きちんと自分で時間管理をしている。
D管理監督者の報酬を得ている社員
 ⇒労働者:年収ベースで管理監督者より多くなることはほとんどない(例外はある)
 ⇒管理監督者:時間外手当を除く労働者の年収と比べるとかなりの格差がある

 上記のすべてを満たせば、管理監督者と言えると考えます。悪くても4つは必要だと思います。
 ただし、労働基準監督署は個別の状況で判断しますので、上記だけではなく、下記の詳細(通達−行政解釈)をお読みいただき、自社の管理監督者はどこら辺で線が引けるのか、考えてください。

 従業員総数に占める管理監督者の割合が25%を超えると、労働基準監督署から”管理監督者が多い会社”と思われるようです。厚生労働省で出している通達(行政解釈)

1.監督又は管理の地位にある者の範囲
(昭和22年9月13日基発17号、昭和63年3月14日、基発第150号)
法第41条第2号に定める「監督若しくは管理の地位にある者」とは、一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものである。具体的な判断にあたっては、下記の考え方によられたい。
 


(1)原則
 法に規定する労働時間、休憩、休日等の労働条件は、最低基準を定めたものであるから、この規制の枠を超えて労働させる場合には、法所定の割増賃金を支払うべきことは、すべての労働者に共通する基本原則であり、企業が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する職制上の役付者であれば全てが管理監督者として例外的取扱いが認められるものではないこと。
 
(2)適用除外の趣旨
 これらの職制上の役付者のうち、労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限って管理監督者として法41条による適用の除外が認められる趣旨であること。従って、その範囲はその限りに、限定しなければならないものであること。

(3)実態に基づく判断
 一般に、企業においては、職務の内容と権限等に応じた地位(以下「職位」という。)と経験、能力等に基づく格付(以下「資格」という。)とによって人事管理が行われている場合があるが、管理監督者の範囲を決めるにあたっては、かかる資格及び職位の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務態様に着目する必要があること。

(4)待遇に対する留意
 管理監督者であるかの判定にあたっては、上記のほか、賃金等の待遇面についても無視しえないものであること。この場合、定期給与である基本給、役付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か、ボーナス等の一時金の支給率、その算定起訴賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か等について留意する必要があること。なお、一般労働者に比べ優遇措置が講じられているからといって、実態のない役付者が管理監督者に含まれるものではないこと。

(5)スタッフ職の取扱い
 法制定当時には、あまり見られなかったいわゆるスタッフ職が、本社の企画、調査等の部門に多く配置されており、これらスタッフの企業内における処遇の程度によっては、管理監督者と同様に取扱い、法の規制外においても、これらの者の地位からして特に労働者の保護に欠けるおそれがないと考えられ、かつ、法が監督者のほかに、管理者も含めていることに着目して、一定の範囲の者については、同法41条第2号外該当者に含めて取り扱うことが妥当であると考えられること。

2.都市銀行等の場合(昭和52・2・28基発104号の2)

 都市銀行等(都市銀行13行、長期信用銀行3行、信託銀行7行)における管理監督者(労働基準法第41条第2号の「監督又は管理の地位にある者」をいう。)の範囲については、昨年4月に実態調査を行った結果、別紙により都市銀行等を指導することとしたので、了知されたい。

労基法上の管理監督者の範囲

1 取締役等役員を兼務する者
2 支店長、事務所長等事業場の長
3 本部の部長等で経営者に直属する組織の長
4 本部の課又はこれに準ずる組織の長
5 大規模の支店又は事務所の部、課等の組織の長で1〜4者と銀行
  内において同格以上に位置づけられている者
6 1〜4と銀行内において同格以上に位置づけられている者であって、1〜3の者及び5のうち1〜3の者と同格以上の位置づけをされている者を補佐し、かつその職務の全部若しくは相当部分を代行若しくは代決する権限を有するもの(次長、副部長等)
7 1〜4と銀行内において同格以上に位置づけられている者であって、経営上の重要事項に関する企画立案等の業務を担当するもの(スタッフ)

(注1)
4の本部の課は、部長ー次長ー課長というー般的な組織における課をいい、課という名称が用いられていてもこの基準の適用にあたって適切でない場合には、実態に即して判定するものとする。
(注2)
課制をとっていない場合等、この基準の適用する職位がないときは、各職位の権限、責任、資格等により判定するものとする。
 
2.都市銀行等以外の金融機関の場合(昭和52・2・28基発105号)

 金融機関においては、かねてより労働基準法(以下「法」という。)第41条第2号に規定する「監督若しくは管理の地位にある者」(以下「管理監督者」という。)の範囲に関する問題の提起があったところであるが、このたび都市銀行、信託銀行及び長期信用銀行(以下「都市銀行等」という。)におけるこれが取扱い範囲について結論を得たので、これに併せて都市銀行等以外の金融機関における管理監督者の範囲についても、下記要領により取扱うこととしたので了知されたい。

             記

金融機関における資格、職位の名称は企業によってさまざまであるが、取締役、理事等役員を兼務する者のほか、おおむね、次に掲げる職位にある者は、一般的には管理監督者の範囲に含めて差し支えないものと考えられること。

1出先機関を統轄する中央機構(以下「本部」という。)の組織の
  長については次に掲げる者
@ 経営者に直属する部等の組織の長(部長等)
A 相当数の出先機関を統轄するため権限分配を必要として設けられた課又はこれに準ずる組織の長(課長等)
B @〜Aと同格以上に位置づけられている者であって、@の者を補佐して、通常当該組織の業務を総括し、かつ、@の者が事故ある場合には、その職務の全部又は相当部分を代行又は代決する権限を有する者(副部長、部次長等)従って、Aの者の下位に属する、例えば副課長、課長補佐、課長代理等の職位は除外されるものであること。

2 支店、事務所等出先機関における組織の長については、次に掲げ
  る者
C 支店、事務所等出先機関の長(支店長、事務所長等)
  ただし、法の適用単位と認められないような小規模出先機関の長は除外される。
D 大規模の支店又は事務所における部、課等の組織の長で、上記@ACの者と企業内において同格以上に位置づけられている者(本店営業部又は母店等における部長、課長等)従って、Cの者を補佐する者でD以外の者(次長、支店長代理等)は原則として除外されるものであること。
 ただし、Cの者に直属し、下位にある役付者(支店長代理、Dに該当しない支店課長等)を指揮監督して、通常支店等の業務を総括し、かつ、その者が事故ある場合にはその職務の全部又は相当部分を代行又は代決する権限を有する者であって、@ACと同格以上に位置づけられているものは含めることができること(副支店長、支店次長等)

3 @〜Cと企業内において同格以上に位置づけられている者であって、経営上の重要な事項に関する企画、立案、調査等の業務を担当する者(いわゆるスタッフ職)

(注1)
Aの本部の課長等は、権限分配された職務を実質的に所掌する者であって、その地位にふさわしい処遇をうけているものでなければならない。従って、単なる人事処遇上の実質を伴わない課長等は除外するものである。
(注2)
支店次長等支店長の直近下位の職制管理者については、その職位にあるからといって、支店長等の職務の全部文は相当部分を代行又は代決する権限を有するものとして取扱うものではなく、その代行、代決の権限が明らかなものに限られる。
 従って、本来なら次長制を必要としないような規模の支店等に名目上の次長を置いたり、形式的に複数の次長を置く等、実質を伴わない補佐役は含まれないものである。