採用内定の取り消しについて 2011/05/23

【質問】

入社を希望している(入社意思を確認済みの)方に採用内定通知を出したら、労働契約を締結したことになるのでしょうか?

採用内定通知後、この方に対する会社の都合による採用内定取り消しは、入社前であっても解雇に該当するのでしょうか?

 

【回答】

質問のケースでは、本人の入社意思を確認済みであることから、採用内定通知が本人に届いた時点で労働契約は成立します。

また、労働契約成立後の採用内定取り消しになりますので、解雇に該当します。

ただし、質問のケースで「入社意思を確認していない」場合には、採用内定通知を出すことで必ずしも労働契約が成立するわけではありません。


労働契約が成立しているか否かは、個々の状況により判断することになります。

労働契約が成立していない例を挙げると、以下の通りです。

  ・ 採用候補者が複数の会社で就職活動をおこなっており、面談でも当社が第一志望だと明確に言っていなかった。

  ・ 採用内定通知に「入社誓約書の提出をもって、入社意思を確認することとします。」と記載している。

  ・ 採用内定通知に「採用を内定する」とだけ記載しており、具体的な入社日、入社後の配属先などが示していない場合。
   (正式に採用決定に至るまでには、入社日を決定したり、報酬を決めたりするプロセスが残っており、この時点では採用が確定
      されているとは言い難い状態である場合。)

 

つまり、会社が採用する、採用候補者が採用される(入社する)ことを諸労働条件を含めて互いに確認した時点で、労働契約が成立するということができます。

 

次に、労働契約成立後の採用内定取り消しが解雇に該当しないケースを紹介します。

  ・ 新卒者の場合に、卒業できなかった場合。

  ・ 採用内定通知後から入社前までに健康を害し、仕事ができない状態になった場合。

  ・ 重大な経歴詐称が発覚した場合。

  ・ 採用内定通知時点では、会社は知ることができず、または知ることが容易ではない事実があり、もし知っていた場合には絶対に
      採用内定通知を出していない場合。

  ・ その他客観的に合理的と認められ、社会通念上相当と認められる場合。(判例の文言です。分かりづらくてすみません。)

 

採用決定から入社までの労働契約は、専門用語で「解約権留保付労働契約」と言われています。

つまり、入社までに上記のケースに該当した場合には、労働契約を解約できる条件付きの契約であり、

その解約権を行使するわけですので、解雇ではないことになります。(参考:解雇は一方的に契約を破棄すること)